2013年11月27日

カッティングボード

カッティングボード



近頃あれこれ余裕を無くしていることに気がつき、生活の小物を製作することにしました。
こういう時、暮らしの道具を考えるとすこし落ち着きます。

カッティングボードを製作。
これはまな板というよりはパンやチーズなどを食卓で切り分けるためのもので、基本的に水気には弱いものです。
一応汚れ防止のために、表面を食用のオリーブオイルで塗装してあります。

デザインをどうしようか考えていたのですが、工房のショップカード(=ダイニングテーブルの天板)の形が好評なので、それをカットボードにアレンジしてみました。


 そして裏側。

工房のロゴマークと、テーブルに置いたときに持ち上げやすいように斜めの切り込みを入れました。
大きさは現在は2種類ですが、これから増やして行こうか考えたいと思います。






2013年11月15日

姿見

姿見納品



それは横浜青葉区Tさんの一本の電話から始まった。

「もしもし、Tです」
「あ、おひさしぶりです」
「姿見ほしいからひとつお願いします」
「え・・、なにかご希望のお値段や仕様はありますか?」
「ん〜、全部まかせるから。よろしく。じゃあ」 ガチャン。

・・・・。

一気に頭の中が真っ白に。
姿見、姿見、すがたみ・・・。

大きさはどうしよう?
どんな雰囲気がいいのかな?
お値段はいくらくらいで出来るだろう。

このようにお客さまからの細かいご希望のない場合、お客さんの
雰囲気や趣味から家具のデザインを考えて行きます。
今回の姿見、以前に納品でお邪魔したTさんのお宅のテレビが
今様のスマートテレビだったことからインスパイアされ、とにかく
木材でどこまで細いフレームにできるかに挑戦してみることにしました。

構造はすぐに決まったのですが、問題は鏡を納めるフレームの強度です。
それからは街を歩いては窓枠に目がいき、電器屋さんではテレビのフレームを眺め、
あげく、美術館では作品ではなく額縁を舐め回すように覗き込み、警備員に注意される始末。

そうして思い切ってエイヤッとフレームの太さを決定したのですが、鏡というものは非常に重く割れやすく、またかなり高価なものなので、製作中はもちろん、納品までひやひやしていました。

鏡は美容院などでも使われている高精細ミラー、180cm × 40cmの大きなものを採用。
何もかもばっちり映ります。
姿見を自立させるためのスタンドの構造をふくめて、ずいぶん頭を悩ませましたがお客さんには気に入っていただけたようです。


本革を2枚縫製したバンド。実はいちばん見てもらいたい所です。


Tさま、ありがとうございます。








2013年11月7日

郷土史を知る


工房に来られた方はご存知のように、工房のとなりには
この地域のお墓が広がっています。
雨振りそぼる。


四季折々、様々な表情を見せてくれる場所なのですが、先日この墓場の前で
真剣な顔で写真を撮っている紳士がおりました。

なんだろう?と思って声をおかけしたら、この辺りの歴史を調べている郷土史家の方でした。
「なにか面白いことがありましたか?」
「ありました!ありました!やっと見つけました」
と、墓場の入り口の小さい五輪の塔を指差し、興奮されていました。



その方のお話によると、この集落は鎌倉幕府発足と同時に記録に残り、鴨志田氏の
統治の後、天正10年前後に大曽根氏が引き継ぐ形で地域の統治を始めたらしいのです。

その五輪の塔は初代大曽根氏のお墓で、たしかに石塔には「天正14年 大曽根飛騨守」と
彫り込んでありました。
この文献を裏付ける史跡の発見に、その方は興奮していたのです。

その他にも現在は駐車場になっているところにかつては集落の菩提寺があり、
その名残がこの墓地である、などなど、興味深いお話をお聞きできました。

子供のころから風土記・郷土史が大好きだったのですが、自分の住む場所の歴史を知ると
地域の見え方が分厚くなる気がします。おもしろいものです。






さあ、遠慮せずに